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章
伝道者の書
1
神の宮へ行くときは、自分の足に気をつけよ。近寄って聞くことは、愚かな者がいけにえをささげるのにまさる。彼らは自分たちが悪を行なっていることを知らないからだ。
2
神の前では、軽々しく、心あせってことばを出すな。神は天におられ、あなたは地にいるからだ。だから、ことばを少なくせよ。
3
仕事が多いと夢を見る。ことばが多いと愚かな者の声となる。
4
神に誓願を立てるときには、それを果たすのを遅らせてはならない。神は愚かな者を喜ばないからだ。誓ったことは果たせ。
5
誓って果たさないよりは、誓わないほうがよい。
6
あなたの口が、あなたに罪を犯させないようにせよ。使者の前で「あれは過失だ。」と言ってはならない。神が、あなたの言うことを聞いて怒り、あなたの手のわざを滅ぼしてもよいだろうか。
7
夢が多くなると、むなしいことばも多くなる。ただ、神を恐れよ。
8
ある州で、貧しい者がしいたげられ、権利と正義がかすめられるのを見ても、そのことに驚いてはならない。その上役には、それを見張るもうひとりの上役がおり、彼らよりももっと高い者たちもいる。
9
何にもまして、国の利益は農地を耕させる王である。
10
金銭を愛する者は金銭に満足しない。富を愛する者は収益に満足しない。これもまた、むなしい。
11
財産がふえると、寄食者もふえる。持ち主にとって何の益になろう。彼はそれを目で見るだけだ。
12
働く者は、少し食べても多く食べても、ここちよく眠る。富む者は、満腹しても、安眠をとどめられる。
13
私は日の下に、痛ましいことがあるのを見た。所有者に守られている富が、その人に害を加えることだ。
14
その富は不幸な出来事で失われ、子どもが生まれても、自分の手もとには何もない。
15
母の胎から出て来たときのように、また裸でもとの所に帰る。彼は、自分の労苦によって得たものを、何一つ手に携えて行くことができない。
16
これも痛ましいことだ。出て来たときと全く同じようにして去って行く。風のために労苦して何の益があるだろう。
17
しかも、人は一生、やみの中で食事をする。多くの苦痛、病気、そして怒り。
18
見よ。私がよいと見たこと、好ましいことは、神がその人に許されるいのちの日数の間、日の下で骨折るすべての労苦のうちに、しあわせを見つけて、食べたり飲んだりすることだ。これが人の受ける分なのだ。
19
実に神はすべての人間に富と財宝を与え、これを楽しむことを許し、自分の受ける分を受け、自分の労苦を喜ぶようにされた。これこそが神の賜物である。
20
こういう人は、自分の生涯のことをくよくよ思わない。神が彼の心を喜びで満たされるからだ。